諸行無常なる男

さっきの話

晩飯を買いに行こうと、人通りのないアーケード街を歩いていた時のコト

１００ｍ先くらいにて、向こうから歩いてきたオナゴが






どーやら、ヒールが溝にひっかかったようだ

まあ、ようあることだ

一瞬、心配して「どうしました？」と、走って駆け寄ろうと思ったけど

でも、本人にとっては、かなり恥ずかしい事だろうから

あえて触れずに、何事もないようにそのまま通り過ぎようと、遠くから判断したと考えたワシ


でも、そのオナゴ、思いがけない行動を


何事もなく、スクっと立ち上がったと思いきや

こけた元の靴を溝から引っ抜き

そのまま、その靴をアーケードの天井に向けて高く放り投げ

クルクルクルっと舞い上がって落ちてきた靴を

肩に提げていたバッグで、スッと受け止めたのさ









でもね、もっと格好よかったのがその後


どーやら、溝にはまった靴はヒールが折れていたようだ

それをさりげなく確認したそのオナゴは

履いていたもう片方の靴を、突然脱いだと思いきや

両方の靴を人差し指で、クルクルっと両手で回しながら

何事もないように、裸足でワシの横を通り過ぎた瞬間











正直、そんときは目の前でその姿を見てて、呆気にとられていたけど

冷静に、後で考えたら

もし、ワシが突然その立場に陥った時、数秒でそのような振る舞いができるだろうか

いや、正直格好悪い姿を、そこまで格好良過ぎるシチュエーションに見せれるだろうか？

そう思うと







いわば、「雨に唄えば」でのジーン・ケリーの、あのシーンが思い浮かぶくらいの格好よさ


まあ、あれは男が魅せるシーンなんだけど、そのくらい惹き付けられた


今となっては、そのかっちょええオナゴに声をかけなかったのがねえ…

本気も本気、マジで悔やまれるけど

ただね、若いぢょしとしては、その状況で声をかけられるのはどうかと…





焼酎お湯割を呑みながら、悩んでいる夜なのさ